新人ちゃんとリーダーさん
すぅ、と息を吸って。
ふぅ、と息を吐いた。
「なぁ、ふたつ聞いていいか」
「……っ、は、はい」
「まず、マリンて誰だ」
「あ、新しく入った新人さんで、桜雅くんが休憩室に来たとき、ちょうどお手洗いに行ってたんです。でも、戻ってきたら鉢合わせると思ったので、その、」
「……」
「……ごめん、なさい、」
「いや別に、ンなのは謝ることじゃねぇだろ」
「え、でも、」
「次、ふたつ目」
「はっ、はい」
「俺が行ったとき隣に座ってた茶髪」
「ちゃぱ……真琴ちゃんのこと、ですか……?」
「そうそのマコトちゃ…………あ? ちゃん?」
「隣に座ってたのは、真琴ちゃんかと、」
「いや男、だよ、な……? そいつ」
「いえ、女の子ですよ」
「……は?」
すぅ、と息を吸って。
ふぅ、と息を吐いた。
「女……?」
「はい。あ、でも今日は次のバイトに行く格好で来ていたので、」
「次のバイト?」
「はい。真琴ちゃん男装カフェでもバイトしてるらしくて、本当は今日、真鈴ちゃんと一緒に真琴ちゃんのところに遊びに行こうって言ってたんですけど、」
「……」
「……ダメですね、私。桜雅くんのこと、とられたくないからって、約束破るようなことしちゃって、」
「……」
「……ライバル、だけど……大切なお友達なのに、」
すぅ、と息を吸って。
ふぅ、と息を吐いた。