新人ちゃんとリーダーさん
一旦、落ち着かねぇか。
半分、己に言い聞かせる形でそれを音にし、「ハリーさんとルビィちゃんに会いてぇ」と結愛の家へ、そこそこ強引に上がり込んだ。どうやら結愛は、嫉妬したことを怒られたと思ったらしい。
「浮気だと思って、キレた」
ハリーさんとルビィちゃんにおやつを与え、顎下を数度撫で、己の、情報過多な脳みそを落ち着かせる。
可愛い。結愛の次に。
そうして、手もきちんと洗ってから寝室へと戻り、ベッドに腰かけて項垂れている結愛の隣へと腰をおろし、あの場で言えなかったそれを吐き出せば、結愛の視線が持ち上がって、俺を捉えた。
「え……?」
「……男だと、思った……その、マコトちゃんを」
「……はぁ、」
「俺が休憩室に行ったときそのコとアイコンタクトして、慌てて俺をそこから連れ出すから、確定だなって……なった」
「……はぁ、」
「……はぁ、って……なぁ、俺は真剣に、」
「いや、だって、あり得ないじゃないですか、そんなの、」
「……あ?」
「アイコンタクトは、確かにしました。真琴ちゃんは、私が桜雅くんと真鈴ちゃんを会わせないようにしてるの知ってたので、」
「……」
「でも、ですよ。仮に真琴ちゃんが男の子だったとしても、あり得ないじゃないですか」
最初は戸惑いを孕んだ表情だった。
けれど数秒後には、「訳が分からない」「理解できない」と言わんばかりの表情に変わる。