造園家は御曹司に求婚される

あたしはというと、壁際で一人チビチビとワインを楽しんでいる。合コンとか男とか興味ないんだよね。

みんな男性に振り向いてもらおうと、ふわふわしたレースのついたワンピースやらセクシーな肩出しの服やら、メイクも普段より気合が入っているとわかる。でもあたしはただのロゴTシャツにジーンズ。合コンには仕方なく来たとわかるあたしに誰も見向きもしない。まあ、その方が楽なんだけど。

「ねえ、お話していい？」

ワインを飲んでいたあたしに誰かが話しかける。顔を上げれば高そうなシャツとパンツ姿の男性。顔立ちはこの中で一番を争うほど整っていて、あたしが話していい相手じゃ無さそう。

「あたしじゃなくて他の女の子にしたら？あたし、別に男に興味ないし」

冷たくあたしはそう言うけど、男性は「まあまあ」と言いながら勝手に話し始める。

名前は財前龍樹（ざいぜんたつき）。有名な会社の御曹司らしい。今日の合コンにはあたしと同じく人が来れなくなったから誘われたらしい。