造園家は御曹司に求婚される
「君の仕事は?」

財前さんに訊かれ、あたしは「造園業」と答える。その答えを聞いた他の男性は驚いていた。だろうね、女のやる仕事じゃないって思ってそうだし。

あたしの家はひいおじいちゃんの代から造園業をしてる。依頼人の庭の木を綺麗に手入れしたりするのが仕事。女性の存在はとても珍しい世界だ。

女の子なら、虫が怖いとか木に登れないとかが当たり前なんだよな。でもあたしはそんなことない。むしろ二つ年下の弟の方が虫が苦手で木にも登れない。生まれる性別を間違えたな、って周りからはよく言われる。だから造園業はあたしが継いだんだ。

「外仕事だから日焼け止め塗ってても肌は黒くなっていくし、木から落ちたりするから体は傷だらけ。こんな女嫌だろ?」

あたしは試すような目で財前さんを見る。友達は保育士や看護師という男受けする職業だ。そっちの方が男ならいいに決まってる。

すぐにあたしから離れるんだろう、そう思っていたあたしだったけど、財前さんは「詳しく仕事のこと教えて!」と楽しそうに訊いてきた。はあ!?
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