造園家は御曹司に求婚される
「女性なのに造園の仕事ってかっこいい！どんな風に木を切ったりするの？」

目を輝かせる財前さんに、あたしはマジかと思いながらも造園家の仕事を話す。造園業は立派な職人の仕事。正しい知識を知ってもらいたい。

お酒を飲みながら話していると、まぶたがだんだん重くなっていった。知らないうちに飲み過ぎていたのかな……。

「この子、俺が連れて帰るよ」

財前さんが誰かにそう言ったのを最後に、あたしは意識を手放した。



「……そうだった」

「やっと思い出してくれた？」

頭を押さえるあたしを見て、男ーーー財前さんは嬉しそうに笑う。よく知り合って数時間の女をホテルに連れ込んでこんなことできたな。……あれ？これって犯罪じゃね？

「あんた、立派な犯罪者じゃ！！」

シーツを体に巻き付け、あたしは痛む腰を無視して財前さんから距離を取ろうとする。しかし、痛む腰を抱えた体はうまく動かせるはずがなく、財前さんにふわりと抱き締められた。
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表紙・目次

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