偽婚約者の恋心~恋人のフリが本気で溺愛されています~
蓮さんに手を引かれ、駐車場に連れて行かれる。
車に乗り、シートベルトを差し込む私の手に、蓮さんの手が重なった。顔を上げると、蓮さんの顔が目の前にあった。私はびっくりする間もなく、蓮さんから再び長いキスを落とされた。
甘いキスの間、耳や顎、首にかけて蓮さんの手が優しく動く。びっくりしたけれど、気持ちいい。多分無茶苦茶キスのうまい人かもしれない。
長く甘いキスが終わると蓮さんは、私を見つめながら、
「この続きは、またあとで。」
と、囁いた。
「あの、蓮さん…。キスの回数多くないですか?」
「嫌だった?」
「嫌というか、恥ずかしいというか、慣れてないというか…。」
「俺はやっと風乃と触れ合えるようになったから我慢出来ない。風乃が好きだから風乃とキスしたい。それ以上のことも。そう思うのはダメかな?」
ストレートに気持ちを言われ、私は真っ赤になりながら、
「ダ、ダメじゃないです…。」
と何とか答えた。
それを聞くと蓮さんは微笑んでから、エンジンをかけ、車が動き出す。
先程のキスで早くなった鼓動が、蓮さんの一言でさらに早くなる。
とっても幸せだけど、蓮さんにこんなにドキドキさせられっぱなしで、これから私の心臓は持つのだろうか?キスだけでこんな状態になってしまうのに、身体を許したら私は一体どうなってしまうんだろう・・・?
私に触れる為に許可を取ってくれていたあの頃に戻りたいような気もしないでもない・・・などと考えながら、私は幸せな気持ちで車窓からの景色を眺めていた。
Fin