偽婚約者の恋心~恋人のフリが本気で溺愛されています~
次の日のエレベーターホール。いつもの時間に彼女が通らない。心配になっていると、彼女がゆっくりと歩いてきた。いつもの颯爽とした感じはない。違和感を覚えた俺は、いつもなら見送るところを、いつのまにか彼女の後を付いて行っていた。

案の定、階段で渦巻くっている。最初に声を掛けた女性は行ってしまった。おそらく迷惑を掛けないようわざと断ったんだろう。少し強引に行くしかないかな。

「立てますか?失礼しますね。」

と、声を掛ける。

彼女の肩に触れる。力加減を間違えると壊れてしまいそうなほど華奢だ。彼女の白い頬と首がほんのりピンクに色に。耳も赤くなっている。
なんて綺麗なんだ。出来ればずっとこうしていたいが、彼女を休ませなければ。
ゆっくりと慎重に連れて行く。彼女をそっと座らせてからミネラルウォーターを購入した。
昨晩かなり飲んでいたようだから、二日酔いかもしれないと思ったからだ。
キャップも開けられないだろうと思い、大きなお世話かもしれないが緩めてから手渡した。
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