偽婚約者の恋心~恋人のフリが本気で溺愛されています~
田中先輩が言ったあいつというのはもちろん藤原さんのことだ。

今日は来なければいいな。

と思いながら、私の担当の朝のルーティンワークを、大急ぎで始める。

事務所のPCや発券端末などを順番に立ち上げる。時計を確認し、店舗の電気を付け、カウンターテーブル、接客用の丸テーブルを拭き、店舗のロールカーテンを開ける。
入り口の自動ドアの鍵を解錠し、9時ちょうどに作動させる。

田中先輩が店舗に出て来てカウンターの中に座った。私が

「よろしくお願いします。」

と言うと田中先輩が

「OK~。」

と言ったのでそのまま事務所に引っ込んだ。


それから坦々と仕事を進めていると、あっという間にお昼になった。
向かいのデスクの、私より3つ上の志摩先輩が、

「先に昼休憩行っていいよ。」

と言ってくれたので、

「はい。ではお先に行ってきます。」

と言って、休憩室に行き、更衣室のロッカーにお弁当を取りに向かう。
< 18 / 107 >

この作品をシェア

pagetop