偽婚約者の恋心~恋人のフリが本気で溺愛されています~
その時、店舗の方から
「藤原様、おやめくださいっ!」
と田中先輩の声が!
直後に書類が落ちる音や何かぶつかるような音も!
「沢ちゃーん、いるんでしょー?」
と藤原さんが大声で叫ぶ。
今、課長や男性社員は席を外していて、支店内には田中先輩と志摩先輩と私の女性3人しかいない。声と音の近さから、事務所に入ってきていると分かった。私は真っ青になり恐怖で足が震えながらも急いで休憩室から更衣室に移動し、身を潜めた。
私は携帯電話を取り出し、急いで課長に電話をかけようとするが、指が震えて早く押せない。
落ち着け、私。
震えながらもゆっくり指を動かす。
やっとかけることが出来たが、話し中だった。
どうしよう・・・。
恐怖と焦りが増す。