偽婚約者の恋心~恋人のフリが本気で溺愛されています~
課長と志摩先輩が休憩室から出た後、田中先輩に呼び止められた。
田中先輩は神妙な面持ちで、
「さっきの藤原さん、私のせいかもしれない…。」
「えっ?どういうことですか?」
「沢ちゃんに恋人がいるかどうか聞かれて…。藤原さんしつこそうだから、牽制になるかと思って、沢ちゃんには好きな人がいて、その人といい感じみたいですって言ったら、急に逆上して、沢ちゃんに会わせろってなって・・・。本当にごめんなさい。」
「いえ、そういうことだったんですね。」
「藤原さんっていつも軽くて穏やかな感じだから、聞いたら諦めるかなと思ってたんだけど、まさかあんなに豹変するとは・・・。
沢ちゃん、大丈夫?今日は休んだ方がいいんじゃない?」
「大丈夫です。お昼食べたら仕事に戻ります。
田中先輩、話してくれてありがとうございました。」
と言って、私はお昼休憩を取ると、いつも通り仕事に戻った。