偽婚約者の恋心~恋人のフリが本気で溺愛されています~
根本的な解決には至っていないが、それから1週間は、私はカウンター業務から外され、事務所内での仕事に専念させてもらった。藤原さんも秘書が手配の依頼に来ただけで、あれから来店していない。

そして今日は安心して出勤出来る。なぜなら、今日は藤原さんは博多出張でいないからだ。先週、秘書の依頼で田中先輩が、藤原さんの今日の出発で、往復の新幹線、ビジネスホテル1泊の博多出張のチケットの手配をしたからだ。
今日と明日は絶対に藤原さんに会うことはないので、気分もいい。この1週間、事務所内での仕事に専念させてもらっていたお詫びも兼ねて、今日と明日の2日間、カウンター業務に入ることにした。

平和に時は過ぎ、お昼休憩の時間に。

私は、お先に行ってきますと言って、お弁当が入ったトートバッグを持って5階の休憩スペースへ。もしかしたら、あのスマートに助けてくれた財前さんにまた会えないかなと淡い期待を抱いていた。
5階の休憩スペースには誰もおらず、私1人の貸し切り状態だった。お弁当を食べ終わると、自動販売機で紅茶を買った。あれから毎朝8時35分に階段を上るようにしているが、全く会わなかった。あの日はきっとたまたま通りかかったんだよね。紅茶を飲みながら携帯をチェックしていると、財前さんから貰った名刺を携帯ケースのポケットに入れっぱなしだったことに気が付いた。藤原さんのせいでそれどころではなかった。名刺を取り出してよく見てみると、

えー??ヒルズビレッジグループの副社長??ってことは御曹司??大金持ち??
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