偽婚約者の恋心~恋人のフリが本気で溺愛されています~
エレベーターに乗ると、彼はカードを取り出し、エレベーターのボタンパネルの下にかざしてから54階のボタンを押した。

あっ、このエレベーター、高層階専用エレベーターだ!

私は乗ってから、高層階専用エレベーターだと気づいた。このビルはセキュリティーがしっかりしていて、49階以上は、ホテルの宿泊者用カードキーか、ベリーヒルズプレミアムVIPカードを持っていないと、この階数には辿り着けないようになっている。

オフィスビルに隣接するショッピングモールにはリーズナブルなレストランもあり、先日二日酔いになった店もショッピングモールにある。

「あの…財前さん、ショッピングモールのレストランフロアには行かないんですか?」

と尋ねると、

「ここのレストランには辛いものはないから安心して。」

と、微笑んだ。

いやいやいやいや、そういうことを言ってるんじゃなくて、54階って高級レストランですよね・・・。
どうしよう。お礼にご馳走しようと思っていたのに、とてもじゃないが、払える額じゃない。でも2回も助けてもらったし、カード払いで頑張るか。などと考えているとエレベーターが54階に着いた。
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