偽婚約者の恋心~恋人のフリが本気で溺愛されています~
エレベーターが開くと、そこはラグジュアリーな空間が広がっていた。
「財前様、いらっしゃいませ。」
もしかして予約してた?でも名前を覚えられているみたい。よく利用しているのかな?と思った。
案内されたのは、窓側の夜景が一望出来る席だった。
着席するとメニューを渡されたが、桁違いの値段を見て驚いた。メニューを見てもさっぱり分からず私が悩んでいると、彼は、
「僕はよくここを利用するので、今日は僕のお勧めでもいいかな?」
と聞いてきてくれた。私は素直に
「はい。お任せします。」
と彼に従った。続けて彼は
「ワインは飲む?」
と聞いてきたが、
「ちゃんとお話したいのでお水で。」
と答えた。
彼はウエイターに、コース料理を2つ、その内1つをスパイシーな物を抜くようにと、あとミネラルウォーターを2つ頼んだ。
「財前さんは、飲んでくださって構いませんよ。」
と言ったが、
「ちゃんと聞きたいから、後で飲むよ。」
とさらっと言ってくれた。