偽婚約者の恋心～恋人のフリが本気で溺愛されています～

「それじゃあ、今後について色々と決めていこう。」

と彼が切り出した。彼は続けざまに、

「風乃さんの話と今日の彼の言動と行動からすると、おそらく興信所か探偵を雇って、君の身辺調査をしている可能性が高い。恋人がいるいないについても、君の身近な人に接触して情報を得ている可能性が高い。だから、婚約者と言っても自信たっぷりに嘘だと言い切ったんだと思う。」

「じゃあ婚約者がいると言っても信じてもらえてないってことですか？」

「大丈夫。これから婚約者らしい振る舞いをすればいい。」

「私は、どうすれば？」

「まず、身近な人に俺が婚約者だと知らせること。敵を欺くにはまず味方から。」

「なるほど。やってみます。」

「それと、お互いに名前で呼ぶこと。俺の事は蓮と呼ぶように。君のことは風乃と呼ばせてもらうけど、いいかな？」

「もちろんです。よろしくお願いします。…れっ…蓮さん。」

「うん、それでいい。」