偽婚約者の恋心~恋人のフリが本気で溺愛されています~
デート中断
車に乗り込む。
「せっかくのデートが申し訳ない。」
「いえ、気になさらないで下さい。半日でしたがとても楽しかったです。」
「んー。婚約者なんだからお互い普通に話さない?」
「そうですよね、すいません。あっ、」
クスッと笑いが起きる。
「もっと崩して。普通に喋って。」
「はい。」
何気ない会話も楽しい。
そうこう言ってる間にマンションが見えてきた。
「今日はありがとうございました。」
「また連絡する。」
車がマンション前に止まり、ドアを開けた瞬間、私の身体は一瞬で凍りついた。マンションの入り口の植え込みの近くに藤原さんが立っていた。マンションの方を覗き込んでいる。