偽婚約者の恋心~恋人のフリが本気で溺愛されています~
ダメダメ!ぶんぶんと首を横にふる。居候の身なんだから、変な想像はやめなくては。

私は蓮さんの分も火にかけた後、先に自分の分をテーブルに運び、お茶の用意をする。
しばらくすると、蓮さんがラフな格好になって戻ってきて椅子に座った。

「美味しそうだね!」

「お口に合うといいんですが。」

私は蓮さんの分もテーブルに運び、席に着いた。

「いただきます。」
「いただきます。」

二人揃って手を合わせ、食べ始める。

庶民的な食事は蓮さんの口に合うだろうか?

私の心配を吹き飛ばずように、

「うん!うまい!」

と、蓮さんは満面の笑みで言ってくれた。
蓮さんの反応がとてもうれしい。

「あの、勝手にキッチンを使ってしまってごめんなさい。」

「ここにある物は自由に使っていいって言っただろう?自分の家だと思って気楽に過ごして。」

「ありがとうございます。キッチンもそうですけど、お部屋もとても綺麗にされてますね。」

「週に1回、家政婦を頼んでるんだ。」

「そうですよね。お忙しいのにお家のことまで出来ませんよね。」

蓮さんから話を聞いて食器や調味料が揃っていたことに納得がいった。
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