偽婚約者の恋心~恋人のフリが本気で溺愛されています~
「ヒルズグループの副社長さんですものね。蓮さん、ほんとにすごい人ですね。」

「すごくはないよ。俺の場合は、親の会社で働いているから、敷かれたレールの上を走ってるだけなんだ。自分の力じゃないよ。」

「それでもすごいことです。レールに乗らない選択や、乗っても脱線することもあるのに、蓮さんはちゃんとしっかり走り続けてます。誰でも出来る事ではないと思います。」

蓮さんの動きが止まる。

「あの、私何か失礼なこと言いました?」

蓮さんは、はっと我に返ったように、

「あ、いや、すまない。今までそんなことを言われたことがなかったから。ありがとう。」

蓮さんの優しい眼差しに耐えきれず、

「いえ。お茶のおかわり入れますね。」

と言って、私は席を立った。
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