偽婚約者の恋心~恋人のフリが本気で溺愛されています~
しまった・・・いつもの癖で階段に来てしまった。さすがに今日はエレベーターを使うつもりだったのに。
エレベーターまで引き返すのも面倒なので、ゆっくり上がることにした。目指すは7階。
ハァハァ言いながら4階の途中まで上がった所で気分が悪くなってしまい、しゃがみ込む。
やっぱり二日酔いで階段はきつい…。
その時、階段を降りてくる足音が。足音が止まったかと思うと、私の横から女性の声が。
私の顔をのぞき込み
「大丈夫ですか?貧血?」
と、モップとバケツを持った年配の清掃業者の女性が、心配そうに声をかけてくれた。
咄嗟に私は
「違いますっ。大丈夫です。すぐ治まりますから。ありがとうございます。」
と言ってしまった…。女性はそれを聞くと笑顔で、
「分かりました。お大事に。」
と言って、階段を降りて行ってしまった。
あああ…やらかした、大丈夫じゃないのに思わず大丈夫って言ってしまったぁー。私のバカー!!