偽婚約者の恋心~恋人のフリが本気で溺愛されています~
終業時間になり、ロッカーの中のバッグから携帯を取り出し、蓮さんから返信が来ていないか確認しようと手に取ると、

あれ?電源が落ちてる。おかしいな?まだ充電残ってたはずなのに…。

疑問に思いながら電源を入れようとした時、

「沢ちゃん、上がれる?」

と田中先輩が。

「はい。今から着替えるところです。携帯の充電がなくなってたみたいで。」

「だったら、私の携帯で音声録音するから大丈夫。」

「よろしくお願いします。」

二人で話ながら着替える。

「一人で来いって言われてないんでしょ?大丈夫。私がいるから。志摩先輩も心配してたから、部屋にも絶対に入らないようにしよ。」

「はい。」

本当に頼れる先輩だ。
今日は藤原さんにしっかりお断りして、蓮さんにも、もう迷惑をかけないようにしないと。

着替えが終わり、事務所を通る。

「お疲れさまです。お先に失礼します。」

と順番に志摩先輩に声をかける。

志摩先輩は、私と田中先輩に疑いの眼差しを向けながら、

「お疲れさまです。」

と、返してくれた。

私達は、支店を出て、指定されたホテルの部屋へ向かった。
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