偽婚約者の恋心~恋人のフリが本気で溺愛されています~
階段を上がりきると、そこには自動販売機が2台とローテーブル、おしゃれな長椅子が二つある。大手家具メーカーもベリーヒルズビレッジ内にオフィスを構えているので、たかが休憩スペースといっても、とてもおしゃれだ。
彼は長椅子の1つに私を丁寧に座らせてくれた。
そして自動販売機でペットボトルのミネラルウォーターを買うと、キャップを緩めてから私に差し出してくれた。彼は笑顔で、
「どうぞ」
と言って、私は慌てて
「あっ、ありがとうございますっ。」
と、両手でミネラルウォーターを受け取った。
喉がカラカラになっていたので、緩められたキャップを外し、ゴクゴクと5口ほど飲んだ。