偽婚約者の恋心~恋人のフリが本気で溺愛されています~
最初に問診があり、その後、一通り検査されると、点滴などの軽い処置も施された。
1時間ほどの点滴が終わる頃、私が寝かされている処置室に再び女性医師がやってきた。
「沢渡さん、気分はどう?」
「だいぶ楽になりました。ありがとうございました。」
と、お礼を言った。
「検査の結果なんだけど、特に問題ないので、明日退院してもらって大丈夫です。」
「ありがとうございます。あの、ちょっと気になったんですけど、この病院は女性スタッフしかいないんですか?」
と聞くと、女性医師はにこっとして、
「スタッフの男女比率は半々ですよ。もともとここはセキュリティーは万全ですが、念の為、今のような夜の時間帯は、普段は男性スタッフの方が多いんですよ。でも、沢渡さんに関しては、女性スタッフ希望ということで財前さんから言われてましたから。」
「そうだったんですね。」
蓮さんがそんなことまで気にかけていてくれたなんて。
「とても愛されてますね。」
「いえ、あの…。ありがとうございます。」
わざわざ否定するのも心苦しいので、そのまま受け流した。