嘘吐きな王子様は苦くて甘い
第三章「旭君の本音」
「おはよー、ひまり!」
「おはよー風夏ちゃん…」
「どした?今日も元気なさそうだね。ここんとこずっとじゃない?」
「うーん、暑いからかな?」
曖昧に笑って誤魔化すと、風夏ちゃんは「暑いよねー、確かに」と言って手でうちわみたいにパタパタ仰いでくれた。
「おはよ!」
一ノ宮君が、笑顔で私達の席に近付いてくる。
「おは、一ノ宮」
「おはよう」
「大倉さん、これあげる!」
「え?」
私の机に何かが置かれる。見ると、私が好きでよく買って教室でも食べてるチョコレートのお菓子だった。
「それ好きかなって!」
「好きだけど、いいの?」
「こないだのお礼!とまではいかないけど、よかったら食べてよ!」
「えー一ノ宮私には?」
「え?ごめん考えてなかった!」
「ちょ、冗談だから!そんな本気で謝んないでよ」
風夏ちゃんと一ノ宮君のやり取りに、思わず笑ってしまう。
「お礼なんて気にしなくていいのに」
「俺が勝手にしたいだけだから!気にせずもらって!」
「ホント?私、これ大好きなんだぁ。ありがとう、一ノ宮君」
気遣いが嬉しくて、顔が綻ぶ。
「…」
「あー、一ノ宮がひまりに見惚れてるー!」
「は、は!?何言ってんの小浜さん!」
一ノ宮君は子供みたいに両手をブンブン振り回した。
「大体、大倉さんには彼氏居るんだし!こないだ一緒に帰ってたの、大倉さんの彼氏でしょ?」
「…彼氏かぁ、どうだろ」
「「え」」
「え?あ、う、うん!そうだよ!」
誰にも話せなくて一人で悶々と考えていたせいか、ついポロッと心の声が漏れてしまって。慌てて肯定した。
「…大倉さ」
「あっつー、朝からマジ最悪」
「あ、菫!おはー」
「菫ちゃん、おはよう」
「おはよ」
「一ノ宮君、これホントにありがとう!皆で食べるね」
「え!あ、うん!じゃ!」
一ノ宮君は顔を赤くして何やらキョロキョロしながら、自分の席へと戻っていった。
「何あれ」
「さぁ?」
菫ちゃんがチラッと横目で一ノ宮君を見る。
「ていうかひまりさぁ」
風夏ちゃんが、私と菫ちゃんにズイッと顔を寄せた。
「もしかして、石原君のことで悩んでない?」
「えっ」
「さっき一ノ宮から、彼氏なのかーって聞かれた時反応微妙だったじゃん」
「う…」
「言いたくないなら無理には聞かないからね?
ただ、最近元気ないように見えたのが一人で悩んでるせいなら、何か力になれることないかなってさ」
笑顔の風夏ちゃんと、優しく頷く菫ちゃん。二人のおかげで、心がポカポカと温かくなっていく。
嘘吐いたみたいになっちゃったのに、風夏ちゃんは私を一言も責めなかった。
「おはよー風夏ちゃん…」
「どした?今日も元気なさそうだね。ここんとこずっとじゃない?」
「うーん、暑いからかな?」
曖昧に笑って誤魔化すと、風夏ちゃんは「暑いよねー、確かに」と言って手でうちわみたいにパタパタ仰いでくれた。
「おはよ!」
一ノ宮君が、笑顔で私達の席に近付いてくる。
「おは、一ノ宮」
「おはよう」
「大倉さん、これあげる!」
「え?」
私の机に何かが置かれる。見ると、私が好きでよく買って教室でも食べてるチョコレートのお菓子だった。
「それ好きかなって!」
「好きだけど、いいの?」
「こないだのお礼!とまではいかないけど、よかったら食べてよ!」
「えー一ノ宮私には?」
「え?ごめん考えてなかった!」
「ちょ、冗談だから!そんな本気で謝んないでよ」
風夏ちゃんと一ノ宮君のやり取りに、思わず笑ってしまう。
「お礼なんて気にしなくていいのに」
「俺が勝手にしたいだけだから!気にせずもらって!」
「ホント?私、これ大好きなんだぁ。ありがとう、一ノ宮君」
気遣いが嬉しくて、顔が綻ぶ。
「…」
「あー、一ノ宮がひまりに見惚れてるー!」
「は、は!?何言ってんの小浜さん!」
一ノ宮君は子供みたいに両手をブンブン振り回した。
「大体、大倉さんには彼氏居るんだし!こないだ一緒に帰ってたの、大倉さんの彼氏でしょ?」
「…彼氏かぁ、どうだろ」
「「え」」
「え?あ、う、うん!そうだよ!」
誰にも話せなくて一人で悶々と考えていたせいか、ついポロッと心の声が漏れてしまって。慌てて肯定した。
「…大倉さ」
「あっつー、朝からマジ最悪」
「あ、菫!おはー」
「菫ちゃん、おはよう」
「おはよ」
「一ノ宮君、これホントにありがとう!皆で食べるね」
「え!あ、うん!じゃ!」
一ノ宮君は顔を赤くして何やらキョロキョロしながら、自分の席へと戻っていった。
「何あれ」
「さぁ?」
菫ちゃんがチラッと横目で一ノ宮君を見る。
「ていうかひまりさぁ」
風夏ちゃんが、私と菫ちゃんにズイッと顔を寄せた。
「もしかして、石原君のことで悩んでない?」
「えっ」
「さっき一ノ宮から、彼氏なのかーって聞かれた時反応微妙だったじゃん」
「う…」
「言いたくないなら無理には聞かないからね?
ただ、最近元気ないように見えたのが一人で悩んでるせいなら、何か力になれることないかなってさ」
笑顔の風夏ちゃんと、優しく頷く菫ちゃん。二人のおかげで、心がポカポカと温かくなっていく。
嘘吐いたみたいになっちゃったのに、風夏ちゃんは私を一言も責めなかった。