嘘吐きな王子様は苦くて甘い
第四章「脱彼女大作戦」
あの夢見たいな海でのデートから、早一週間。夏休みだから、登下校でも学校でも旭君には会えない。
今までは無駄に庭に出てみたりお母さんに頼んでお隣にお裾分けや用事作ってもらってなんとか旭君の姿拝んだりしてたけど、今年はそれもやめる。
私が心に決めたのは、旭君とはこのままお付き合いできないってこと。偽物の彼女だって知っちゃったのに、知らないフリして付き合い続けるなんてできない。
あの日盗み聞きした会話の内容を、もう一度私なりに整理してみた。
「これからどうすんの」とか「お前らが言い出したんだろ」とかってセリフから察すると、多分旭君は付き合い続ける気はないってこと。後旭君の意思でってよりは周りの友達にけしかけられて仕方なくって感じだったような。
けしかけられたからって好きでもない子に告白なんかしちゃう旭君は、ハッキリ言って最低だけど。それでも私は、旭君を嫌いになれない。好きでいた時間が長過ぎて、そんなことじゃ揺れすらしない。バカ、だよね私。
旭君は前、私が「好き」って言った時「わり」って謝った。私の気持ちを知って、旭君はきっと罪悪感を感じてるんだ。あの日から旭君、前よりも分かりやすく私に優しくしてくれるようになったし。
理由もなく「別れよう」って言えば、私を傷付ける。だから旭君は、未だに言い出せないまま。
だからって私から旭君をフッてしまえば、それが友達にバレた時に旭君はバカにされるかもしれない。「騙したと思ってた相手にフラれるとかだっせぇ」みたいな。
そうならないようにする為にはやっぱり、旭君から私に別れを切り出してくれるのが一番で。理由がないなら、作ればいいだけの話。
私大倉ひまりは、旭君が「別れよう」って言い出しやすいように嫌な彼女になることにします!
ネットで調べた知識を総動員させて、旭君が嫌がる彼女を全力で演じることに決めた。
バカなのは分かってるけど、それでも好きなんだもん。だったらもう開き直って、とことんバカなことやってやる…!
「こんにちはー」
「ひまりちゃん、いらっしゃい」
「お邪魔します!あ、これお菓子食べてください」
「いつもごめんねぇ、後で部屋に持っていくから」
旭君のお母さんにペコッとお辞儀をして、私は二階へ続く階段を登る。旭君の部屋のドアをノックすると「入れば」って旭君の低めの声が聞こえてきて心臓が一層高鳴った。
…しっかりしろ、ひまり。これから私は、嫌われなくちゃいけないんだから!
「旭君、ごめんね急に」
「別に」
メッセージで「今から行くね」って一方的に送って、返事も待たずにやってきた私。どう?迷惑でしょう。
旭君をチラッと見たけど、いつもと同じ無表情。怒ってる様子はなかった。
第一の作戦は…失敗?
いや、でもまだまだここからだ!
今までは無駄に庭に出てみたりお母さんに頼んでお隣にお裾分けや用事作ってもらってなんとか旭君の姿拝んだりしてたけど、今年はそれもやめる。
私が心に決めたのは、旭君とはこのままお付き合いできないってこと。偽物の彼女だって知っちゃったのに、知らないフリして付き合い続けるなんてできない。
あの日盗み聞きした会話の内容を、もう一度私なりに整理してみた。
「これからどうすんの」とか「お前らが言い出したんだろ」とかってセリフから察すると、多分旭君は付き合い続ける気はないってこと。後旭君の意思でってよりは周りの友達にけしかけられて仕方なくって感じだったような。
けしかけられたからって好きでもない子に告白なんかしちゃう旭君は、ハッキリ言って最低だけど。それでも私は、旭君を嫌いになれない。好きでいた時間が長過ぎて、そんなことじゃ揺れすらしない。バカ、だよね私。
旭君は前、私が「好き」って言った時「わり」って謝った。私の気持ちを知って、旭君はきっと罪悪感を感じてるんだ。あの日から旭君、前よりも分かりやすく私に優しくしてくれるようになったし。
理由もなく「別れよう」って言えば、私を傷付ける。だから旭君は、未だに言い出せないまま。
だからって私から旭君をフッてしまえば、それが友達にバレた時に旭君はバカにされるかもしれない。「騙したと思ってた相手にフラれるとかだっせぇ」みたいな。
そうならないようにする為にはやっぱり、旭君から私に別れを切り出してくれるのが一番で。理由がないなら、作ればいいだけの話。
私大倉ひまりは、旭君が「別れよう」って言い出しやすいように嫌な彼女になることにします!
ネットで調べた知識を総動員させて、旭君が嫌がる彼女を全力で演じることに決めた。
バカなのは分かってるけど、それでも好きなんだもん。だったらもう開き直って、とことんバカなことやってやる…!
「こんにちはー」
「ひまりちゃん、いらっしゃい」
「お邪魔します!あ、これお菓子食べてください」
「いつもごめんねぇ、後で部屋に持っていくから」
旭君のお母さんにペコッとお辞儀をして、私は二階へ続く階段を登る。旭君の部屋のドアをノックすると「入れば」って旭君の低めの声が聞こえてきて心臓が一層高鳴った。
…しっかりしろ、ひまり。これから私は、嫌われなくちゃいけないんだから!
「旭君、ごめんね急に」
「別に」
メッセージで「今から行くね」って一方的に送って、返事も待たずにやってきた私。どう?迷惑でしょう。
旭君をチラッと見たけど、いつもと同じ無表情。怒ってる様子はなかった。
第一の作戦は…失敗?
いや、でもまだまだここからだ!