嘘吐きな王子様は苦くて甘い
「あっそ」の言い方が凄く冷たくて、一瞬ビクッとする。でも途中でやめるわけにいかなくて、気付かないフリしてそのまま続けた。
「一ノ宮君ってすっごい爽やかでね?サッカー部なんだけど、女子が一ノ宮君目当てで見学してるって風夏ちゃんが言ってた。クラスでもいつも明るくて目立ってて、私にもよく話しかけ「それ、まだ続く?」
やっぱり、冷たい声。そりゃそうだよね、急に来ていらないもの押し付けられて、興味ない話ばっかりされるんだもん。
「…ううん、もうお終い」
「お前、ソイツのこと好きなの?」
スッと細められた鋭い視線が、私に突き刺さる。旭君に見つめられると私はいつも、ドキドキして息ができない位なのに。
「…」
「遠回しに、俺と付き合うのが嫌って言いてぇのかよ」
ずっと、ずーっと好きなのに。
いつだって旭君のことしか、考えてないのに。
私はちゃんと、旭君が好きだって伝えたのに。
「バカ…」
旭君に嫌われる作戦も、今は頭から飛んでって。
「旭君のバカ…ッ!もう知らないっ!」
瞳に溜まった涙を隠すことなく、私は一方的に怒鳴ってそのまま走って家へ帰った。
引き留めるような声が聞こえた気がしたけど、立ち止まる勇気はなくて。
勝手に会いにいって、勝手に関係ない話して、勝手に怒って。私、最悪な彼女としては最高だったと思う。
「旭君のバカ…」
乱暴に玄関を開けてバタバタと階段を上がり、自分の部屋のベッドで枕を顔に押し当てながら呟いた。
幾らホントの彼氏彼女じゃないって言っても、自分じゃない男子の話ばっかりすればいい気はしないだろうなって。それを分かっててわざと話したんだけど。
まさかあそこまで冷たい言い方されるとは思わなかった。
それに旭君「ソイツのこと好きなのか」って…
私はちゃんと、旭君のことが好きだって伝えたのに。
なのにあんな言い方…幾らなんでも…
ダメだ。バカなのは私の方だ。
旭君にフッてもらおう、その為に嫌われようって覚悟決めてたつもりなのに。いざそうなってみると、こんなにも心が痛いなんて。
「ふ…ぅっ」
ホントは嫌われたくない、嘘でもいいから彼女のままでいたい、旭君の一番近くにいる女の子が私以外の誰かになっちゃうなんて絶対に嫌だ。
旭君が私をフれば、もう昔みたいにただのお隣さんには戻れない。
私は「元カノ」って立場になって、きっと誰よりも遠い過去の存在になる。
「やだ、やだよぉ。そんなのやだぁ…っ」
リビングに居る家族に聞こえないように、私は枕に顔を埋めて泣き続けた。
途中で何度もスマホが震えてることに気が付いたけど、とても手に取る気にはなれなかった。
「一ノ宮君ってすっごい爽やかでね?サッカー部なんだけど、女子が一ノ宮君目当てで見学してるって風夏ちゃんが言ってた。クラスでもいつも明るくて目立ってて、私にもよく話しかけ「それ、まだ続く?」
やっぱり、冷たい声。そりゃそうだよね、急に来ていらないもの押し付けられて、興味ない話ばっかりされるんだもん。
「…ううん、もうお終い」
「お前、ソイツのこと好きなの?」
スッと細められた鋭い視線が、私に突き刺さる。旭君に見つめられると私はいつも、ドキドキして息ができない位なのに。
「…」
「遠回しに、俺と付き合うのが嫌って言いてぇのかよ」
ずっと、ずーっと好きなのに。
いつだって旭君のことしか、考えてないのに。
私はちゃんと、旭君が好きだって伝えたのに。
「バカ…」
旭君に嫌われる作戦も、今は頭から飛んでって。
「旭君のバカ…ッ!もう知らないっ!」
瞳に溜まった涙を隠すことなく、私は一方的に怒鳴ってそのまま走って家へ帰った。
引き留めるような声が聞こえた気がしたけど、立ち止まる勇気はなくて。
勝手に会いにいって、勝手に関係ない話して、勝手に怒って。私、最悪な彼女としては最高だったと思う。
「旭君のバカ…」
乱暴に玄関を開けてバタバタと階段を上がり、自分の部屋のベッドで枕を顔に押し当てながら呟いた。
幾らホントの彼氏彼女じゃないって言っても、自分じゃない男子の話ばっかりすればいい気はしないだろうなって。それを分かっててわざと話したんだけど。
まさかあそこまで冷たい言い方されるとは思わなかった。
それに旭君「ソイツのこと好きなのか」って…
私はちゃんと、旭君のことが好きだって伝えたのに。
なのにあんな言い方…幾らなんでも…
ダメだ。バカなのは私の方だ。
旭君にフッてもらおう、その為に嫌われようって覚悟決めてたつもりなのに。いざそうなってみると、こんなにも心が痛いなんて。
「ふ…ぅっ」
ホントは嫌われたくない、嘘でもいいから彼女のままでいたい、旭君の一番近くにいる女の子が私以外の誰かになっちゃうなんて絶対に嫌だ。
旭君が私をフれば、もう昔みたいにただのお隣さんには戻れない。
私は「元カノ」って立場になって、きっと誰よりも遠い過去の存在になる。
「やだ、やだよぉ。そんなのやだぁ…っ」
リビングに居る家族に聞こえないように、私は枕に顔を埋めて泣き続けた。
途中で何度もスマホが震えてることに気が付いたけど、とても手に取る気にはなれなかった。