嘘吐きな王子様は苦くて甘い
第九章「最初はちょっとしたことでも」
もうすぐ学園祭。クラスでは作品展示だけで他は特にしないみたいなんだけど、家庭科部ではお菓子と手作り品の販売をする予定だから当日まで毎日活動がある。
「まだ足りない…」
私が担当してるのは、手作りのシュシュ。今までに使ってきて余った端切れとか、手芸屋さんで売ってた余り布のセットを買って、それをミシンで踏む。
「可愛いじゃん、大倉さん」
「ありがとうございます。でも結構数がいるんですね」
「家庭科部の一年間の活動のメインみたいなものだからねぇ」
先輩は私と話しながらも、器用に手先を動かし続けてる。
「凄く可愛いです、それ」
「ありがと!私ミシン苦手だからさ」
先輩はニードルっていう専用の針をチクチク動かしながら、羊毛フェルトでマスコットを作ってて。
みるみるうちに形になっていくそれは魔法みたいで、ずっと見てても飽きないから不思議だ。
部員一人一人がそれぞれ得意なもので小物を作って、ラッピングして、値段付け。売れた時のことを想像したら、胸がワクワクする。
「一緒に頑張ろうね、大倉さん」
「はい!」
学園祭まで後一ヶ月、まずは小物を完成させてそれからお菓子の試作も作らないといけない。
まぁ、こっちの方は何ヶ月も前からアイディアを出し合ってきたからそんなに心配はいらないと思うけど。
家庭科部は人数が少ないからか、先輩達との距離も近い。三年生の先輩も友達みたいに接してくれて、私はこの部活に入って良かったなっていつも思ってるんだ。
「お疲れ様ー、また明日ね」
「はい、失礼します」
活動が終わって、先輩に挨拶する。学園祭までは旭君とあんまり一緒に帰れないだろうから、少し寂しい。
特に用なくてもメッセージとか送っていいのかな?
「大倉さん」
「あ…一ノ宮君」
門のところで一ノ宮君に声をかけられる。
「今部活終わったの?」
「うん、一ノ宮君も?」
「そう、さっき着替えたんだ!下校時間過ぎたら怒られるしね。この前も早く帰れって顧問から追いかけられたんだ」
「アハハ、そうなんだ」
「ミヤー?帰んねーのー?」
一ノ宮君を呼ぶ声がして、反射的に私もそっちを向いた。サッカー部の人達みたいで、この間ショッピングモールに一ノ宮君といた男子も居る。
「あ、大倉さんだ!」
ビックリしたように私の名前まで呼ばれたから、戸惑いながらもぺこりと頭を下げた。
一ノ宮君は、あれからも普通に話しかけてくれる。気を遣ってくれてるのか前よりも話す頻度は減ったけど、一ノ宮君の変わらない態度に凄く救われてるのは事実だった。
「まだ足りない…」
私が担当してるのは、手作りのシュシュ。今までに使ってきて余った端切れとか、手芸屋さんで売ってた余り布のセットを買って、それをミシンで踏む。
「可愛いじゃん、大倉さん」
「ありがとうございます。でも結構数がいるんですね」
「家庭科部の一年間の活動のメインみたいなものだからねぇ」
先輩は私と話しながらも、器用に手先を動かし続けてる。
「凄く可愛いです、それ」
「ありがと!私ミシン苦手だからさ」
先輩はニードルっていう専用の針をチクチク動かしながら、羊毛フェルトでマスコットを作ってて。
みるみるうちに形になっていくそれは魔法みたいで、ずっと見てても飽きないから不思議だ。
部員一人一人がそれぞれ得意なもので小物を作って、ラッピングして、値段付け。売れた時のことを想像したら、胸がワクワクする。
「一緒に頑張ろうね、大倉さん」
「はい!」
学園祭まで後一ヶ月、まずは小物を完成させてそれからお菓子の試作も作らないといけない。
まぁ、こっちの方は何ヶ月も前からアイディアを出し合ってきたからそんなに心配はいらないと思うけど。
家庭科部は人数が少ないからか、先輩達との距離も近い。三年生の先輩も友達みたいに接してくれて、私はこの部活に入って良かったなっていつも思ってるんだ。
「お疲れ様ー、また明日ね」
「はい、失礼します」
活動が終わって、先輩に挨拶する。学園祭までは旭君とあんまり一緒に帰れないだろうから、少し寂しい。
特に用なくてもメッセージとか送っていいのかな?
「大倉さん」
「あ…一ノ宮君」
門のところで一ノ宮君に声をかけられる。
「今部活終わったの?」
「うん、一ノ宮君も?」
「そう、さっき着替えたんだ!下校時間過ぎたら怒られるしね。この前も早く帰れって顧問から追いかけられたんだ」
「アハハ、そうなんだ」
「ミヤー?帰んねーのー?」
一ノ宮君を呼ぶ声がして、反射的に私もそっちを向いた。サッカー部の人達みたいで、この間ショッピングモールに一ノ宮君といた男子も居る。
「あ、大倉さんだ!」
ビックリしたように私の名前まで呼ばれたから、戸惑いながらもぺこりと頭を下げた。
一ノ宮君は、あれからも普通に話しかけてくれる。気を遣ってくれてるのか前よりも話す頻度は減ったけど、一ノ宮君の変わらない態度に凄く救われてるのは事実だった。