嘘吐きな王子様は苦くて甘い
学園祭当日。今日は一般公開はなくて生徒がチケットを渡した人達だけ来場が許可されてる日。
友達とか彼氏を呼ぶ人もいるらしいけど、大体は家族や親戚にチケットを渡してる人が多い。
明日はチケットがなくても入れる一般公開日だけど、家庭科部が手作りのお菓子を出店するのは今日だけだ。
明日は、今までの活動で作った作品の展示と小物の販売だからそんなに忙しくない。
今日を乗り切れば、明日はそんなに緊張しなくてもいいはずだから頑張ろう…!
「わ、ひまり甘い匂いがするー」
朝一で家庭科室に行き、他の部員と調理してきた私。カップケーキも無事膨らんで、ラッピングも間に合って。型抜きクッキーも可愛く仕上がった。
「朝からお疲れ、ひま」
「ありがとう。あ、これあげる」
昨日作ったカップケーキを二人に渡す。
「昨日家で作ったんだけど、味は今日売るのと多分一緒だから」
「ありがとひまり!」
「ありがと。でもちゃんと買いに行くからね」
二人とも笑顔で受け取ってくれて、緊張のドキドキが少し和らいだ気がした。
「朝礼終わったらすぐ行くんでしょ?」
「うん」
「何か手伝えることあったら言ってね」
「ありがとう」
「時間空いたら教えてよ、一緒に回ろ」
「うん!完売したら終わりだから、その時は一緒に回ってね」
「早く売れるといーね」
「大倉さんお菓子売るんでしょ?ウチらも買いに行くねー」
「嬉しい、ありがとう!」
クラスの子達もそう声をかけてくれて、一層気持ちが楽になったのだった。
文化祭がスタートして、早一時間。私が予想してたよりもずっとスムーズにお菓子は売れていった。
「凄いですね、こんなに売れるんだ」
「毎年地味に人気あるからね、家庭科部のお菓子販売」
「美味しいし、安いですもんね」
「後少し、頑張ろうね」
「はい!」
「すいませーん」
「あ、はーいどうぞ!」
先輩達のフォローのおかげで、私達一年生もここまでミスなくこなせてる。後少しで完売、そしたら片付けだけで菫ちゃんと風夏ちゃんに合流できるはずだ。
「これくださーい」
「あ、はいありがとうございます」
パッと相手を見れば、見覚えのある顔。
この人達、確か…
「あ…」
この前一ノ宮君のことで私を呼び出した前橋さんの後ろにいた女子三人の内の二人だ…!
一ノ宮君のことより、旭君のことの方を私に問い詰めてきてた子達。
「大倉さん凄いねー、こんなの作れちゃうんだ」
笑いながら言われて、なぜか全然褒められてる気がしない。
「皆で作ってるから…」
「さっき石原君と会ってさぁ、今日は大倉さんと回らないって言うから私ら立候補しちゃった。そしたらいいって言われちゃったー」
「え…」
「だからこれ買って今から持ってくんだー、ごめんね大倉さん」
私が何か言う暇もなく、二人は私の手にお金を置くと楽しそうにさっていった。
「大倉さんケーキ渡した?」
「あ!」
「すぐ持っていける?」
「はい、すいません!」
私は慌ててケーキを袋に入れて、あの二人の後を追いかけた。内心は、ドキドキしながら。
友達とか彼氏を呼ぶ人もいるらしいけど、大体は家族や親戚にチケットを渡してる人が多い。
明日はチケットがなくても入れる一般公開日だけど、家庭科部が手作りのお菓子を出店するのは今日だけだ。
明日は、今までの活動で作った作品の展示と小物の販売だからそんなに忙しくない。
今日を乗り切れば、明日はそんなに緊張しなくてもいいはずだから頑張ろう…!
「わ、ひまり甘い匂いがするー」
朝一で家庭科室に行き、他の部員と調理してきた私。カップケーキも無事膨らんで、ラッピングも間に合って。型抜きクッキーも可愛く仕上がった。
「朝からお疲れ、ひま」
「ありがとう。あ、これあげる」
昨日作ったカップケーキを二人に渡す。
「昨日家で作ったんだけど、味は今日売るのと多分一緒だから」
「ありがとひまり!」
「ありがと。でもちゃんと買いに行くからね」
二人とも笑顔で受け取ってくれて、緊張のドキドキが少し和らいだ気がした。
「朝礼終わったらすぐ行くんでしょ?」
「うん」
「何か手伝えることあったら言ってね」
「ありがとう」
「時間空いたら教えてよ、一緒に回ろ」
「うん!完売したら終わりだから、その時は一緒に回ってね」
「早く売れるといーね」
「大倉さんお菓子売るんでしょ?ウチらも買いに行くねー」
「嬉しい、ありがとう!」
クラスの子達もそう声をかけてくれて、一層気持ちが楽になったのだった。
文化祭がスタートして、早一時間。私が予想してたよりもずっとスムーズにお菓子は売れていった。
「凄いですね、こんなに売れるんだ」
「毎年地味に人気あるからね、家庭科部のお菓子販売」
「美味しいし、安いですもんね」
「後少し、頑張ろうね」
「はい!」
「すいませーん」
「あ、はーいどうぞ!」
先輩達のフォローのおかげで、私達一年生もここまでミスなくこなせてる。後少しで完売、そしたら片付けだけで菫ちゃんと風夏ちゃんに合流できるはずだ。
「これくださーい」
「あ、はいありがとうございます」
パッと相手を見れば、見覚えのある顔。
この人達、確か…
「あ…」
この前一ノ宮君のことで私を呼び出した前橋さんの後ろにいた女子三人の内の二人だ…!
一ノ宮君のことより、旭君のことの方を私に問い詰めてきてた子達。
「大倉さん凄いねー、こんなの作れちゃうんだ」
笑いながら言われて、なぜか全然褒められてる気がしない。
「皆で作ってるから…」
「さっき石原君と会ってさぁ、今日は大倉さんと回らないって言うから私ら立候補しちゃった。そしたらいいって言われちゃったー」
「え…」
「だからこれ買って今から持ってくんだー、ごめんね大倉さん」
私が何か言う暇もなく、二人は私の手にお金を置くと楽しそうにさっていった。
「大倉さんケーキ渡した?」
「あ!」
「すぐ持っていける?」
「はい、すいません!」
私は慌ててケーキを袋に入れて、あの二人の後を追いかけた。内心は、ドキドキしながら。