嘘吐きな王子様は苦くて甘い
「もういいから、謝らないで?」
「でも…」
「確かに怖かったし、身に覚えのないことだちだったからビックリした。だけど分かってもらえたみたいだし、大丈夫だよ」
表情を緩めて怒ってないことを伝える。それに正直、どちらかというと一ノ宮君のことが好きな前橋さんよりその後ろにいた旭君のことを気にしてる子達の方が気になってるし…
「もう気付いてると思うけど、私ミヤのこと好きなの」
誰もいない四階の廊下の隅で、前橋さんが手摺りから下を見ながらそう口にする。
「最近、ミヤが貴女の話ばっかりしてたからつい嫉妬しちゃって。この前、私の後ろにいた子達いるでしょ?あの子達から、大倉さんは石原君と付き合ってるのにミヤと帰ったりしてるって、男子なら誰にでもいい顔する子なんだって聞いて…つい」
「はは、だろうね…」
「え?」
「あ、ううん。なんでも」
「大倉さん、ミヤのユニフォーム繕ったんでしょ?それ嬉しそうに自慢してるミヤを見て、今までになったことないような黒い気持ちが出てきて、考えられないようなことしちゃった…」
「なんとなく、分かるよ」
目の前の前橋さんを見てると、自分かれフラれようとしてたバカな自分を思い出してどうしても責める気になれなかった。
好きな人のことになると、気持ちが抑えられなくなっちゃう気持ちは私にも分かるから。
「…大倉さんはいい子だってミヤが言ってたけど、その通りだね。私とは全然違う」
前橋さんはそう言って無理矢理みたいに笑う。
「前橋さん…」
「ミヤにちゃんとぶつからないで大倉さんに文句言っちゃうんだもん。ホント私ダメだなぁ…」
「あのね、私と石原君って幼馴染みなんだ」
「そうなの?」
「うん。私何歳からか思い出せない位昔から、石原君のこと好きなの」
私の言葉に、前橋さんがビックリしたように口を開けた。
「でも最近までずっと、好きだって言えなかった。幼馴染みの立場が崩れるのが怖くて、どうしても一歩踏み出せなかった。石原君に告白した女の子がいるって聞いてもただモヤモヤするばっかりで、上手くいきませんようにって祈ってたの。最低だよね」
前橋さんはプルプルと首を左右に振る。その仕草が可愛くて、思わず笑ってしまった。
「一ノ宮君と前橋さんのこと私には何もできないけど、心の中で応援してるから」
「ありがとう。ホントに、ごめんね」
「うん!」
遠慮がちながらも嬉しそうな彼女の笑顔に、ホントに一ノ宮君のことが好きなんだなぁって改めて思った。
告白の件を言わなかったことに胸はチクチクしたけど、勝手に喋るのは一ノ宮君に失礼な気がして私は最後まで何も話さなかった。
「でも…」
「確かに怖かったし、身に覚えのないことだちだったからビックリした。だけど分かってもらえたみたいだし、大丈夫だよ」
表情を緩めて怒ってないことを伝える。それに正直、どちらかというと一ノ宮君のことが好きな前橋さんよりその後ろにいた旭君のことを気にしてる子達の方が気になってるし…
「もう気付いてると思うけど、私ミヤのこと好きなの」
誰もいない四階の廊下の隅で、前橋さんが手摺りから下を見ながらそう口にする。
「最近、ミヤが貴女の話ばっかりしてたからつい嫉妬しちゃって。この前、私の後ろにいた子達いるでしょ?あの子達から、大倉さんは石原君と付き合ってるのにミヤと帰ったりしてるって、男子なら誰にでもいい顔する子なんだって聞いて…つい」
「はは、だろうね…」
「え?」
「あ、ううん。なんでも」
「大倉さん、ミヤのユニフォーム繕ったんでしょ?それ嬉しそうに自慢してるミヤを見て、今までになったことないような黒い気持ちが出てきて、考えられないようなことしちゃった…」
「なんとなく、分かるよ」
目の前の前橋さんを見てると、自分かれフラれようとしてたバカな自分を思い出してどうしても責める気になれなかった。
好きな人のことになると、気持ちが抑えられなくなっちゃう気持ちは私にも分かるから。
「…大倉さんはいい子だってミヤが言ってたけど、その通りだね。私とは全然違う」
前橋さんはそう言って無理矢理みたいに笑う。
「前橋さん…」
「ミヤにちゃんとぶつからないで大倉さんに文句言っちゃうんだもん。ホント私ダメだなぁ…」
「あのね、私と石原君って幼馴染みなんだ」
「そうなの?」
「うん。私何歳からか思い出せない位昔から、石原君のこと好きなの」
私の言葉に、前橋さんがビックリしたように口を開けた。
「でも最近までずっと、好きだって言えなかった。幼馴染みの立場が崩れるのが怖くて、どうしても一歩踏み出せなかった。石原君に告白した女の子がいるって聞いてもただモヤモヤするばっかりで、上手くいきませんようにって祈ってたの。最低だよね」
前橋さんはプルプルと首を左右に振る。その仕草が可愛くて、思わず笑ってしまった。
「一ノ宮君と前橋さんのこと私には何もできないけど、心の中で応援してるから」
「ありがとう。ホントに、ごめんね」
「うん!」
遠慮がちながらも嬉しそうな彼女の笑顔に、ホントに一ノ宮君のことが好きなんだなぁって改めて思った。
告白の件を言わなかったことに胸はチクチクしたけど、勝手に喋るのは一ノ宮君に失礼な気がして私は最後まで何も話さなかった。