嘘吐きな王子様は苦くて甘い
最終章「私のお隣さん」
部屋に置かれた姿見の前で、クルッと一回転する。
「どこもおかしいところないよね?」
あっという間に時間は過ぎて、冬休みに突入。今日は一月二日、お正月だ。
「ちょっと太っちゃったからなぁ、大丈夫かな」
鏡に顔を近付けて、頬っぺたをぺたぺたと触った。冬休みに入ってなんだかんだでずっと食べてたし、昨日も親戚が集まってたらふくご馳走を食べた。
お餅の数減らせばよかったって、今になって後悔する。
旭君との約束の時間まで後少し。今日は二人で、初詣に行く約束をしてる。
「お母さん、変じゃない?」
パタパタと階段を降りて、お母さんの前でもクルッと一回転。
「可愛いよ、ねぇお父さん?」
普段は仕事が忙しいお父さんも、今はお正月休みで家にいる。
「旭君と初詣だっけ?気を付けてな」
お父さんももちろん小さい頃から旭君のことを知ってるから、付き合ってる報告した時もあんまり驚かなかった。
お母さんみたいにあからさまに喜んではくれなかったけど、だからって反対もしてないみたい。
「初詣の後初売りも行くから、ちょっと遅くなるね」
「帰る前には連絡しなさい」
「はぁい」
「ひまり、これ食べる?」
お母さんが差し出したのは、焼き立てのお餅。しかも砂糖醤油が塗ってあって、それを海苔で包んでるから香ばしいいい匂いが鼻をくすぐる。
「う、ううん要らない!行ってきまーす!」
一瞬手が伸びかけたけど、昨日の体重計の数字を思い出しグッと我慢した。これ食べなかったからって痩せるわけじゃないけど、少しでも旭君に可愛いと思われたいもん。
「よ」
玄関を出るとすぐに旭君がいる。まだ待ち合わせより少し早いのに、待っててくれたんだ。
寒そうに肩を縮こませて白い息を吐く彼は、年が変わっても相変わらずカッコいい。寧ろ磨きがかかってキラキラ光ってるように見えた。
「明けましておめでとうございます」
「おめでとうございます」
二人でぺこりと新年の挨拶を交わす。
「旭君、明けましておめでとう!」
ウチのお母さんとお父さんも、家から出てきた。
「明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします」
おぉ、旭君が丁寧だ。
「ひまりちゃん、明けましておめでとう!」
私達の声が聞こえたのか、旭君のお父さんとお母さんも家から出てくる。
「あ、明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!」
勢いよくお辞儀したら、二人とも柔らかく笑ってくれて。
こんな風にお互いの親同士も仲良くてすんなり公認してもらえるのって、お隣さん同士ならではの特権だよなぁってしみじみ感じた。
昨日の夜から悩みに悩んでやっと決めたコーディネート。
白の薄手のタートルニットに、くすみピンクのざっくり編みカーディガン、それから細かい千鳥格子柄のタイトロングスカート。コートはネイビーのショートダッフルコートで、それに黒いタイツと黒のスニーカーを合わせた。
大分伸びた鎖骨までのロングヘアは、お母さんに巻いてもらって今日はふわふわだ。
「ねぇ、髪どう?いつもと違うでしょ?」
服装についてズバッと聞く勇気はまだないので、せめて髪型だけでも触れてもらおうと自分から話を振る。
あの一件が解決してから旭君もかなり丸くなった、というより素直に色々言ってくれるようになって。
「いいじゃん、可愛い」
目を細めて私の髪に触れるその表情に、私は一瞬でやられた。
「なんだよ、自分から聞いてきた癖に」
頭から煙が出そうな私を見て、旭君が喉を鳴らしながら笑う。
最初はお互いにぎこちなかった手も、今ではすっかり繋ぐのが当たり前みたいになった。
「どこもおかしいところないよね?」
あっという間に時間は過ぎて、冬休みに突入。今日は一月二日、お正月だ。
「ちょっと太っちゃったからなぁ、大丈夫かな」
鏡に顔を近付けて、頬っぺたをぺたぺたと触った。冬休みに入ってなんだかんだでずっと食べてたし、昨日も親戚が集まってたらふくご馳走を食べた。
お餅の数減らせばよかったって、今になって後悔する。
旭君との約束の時間まで後少し。今日は二人で、初詣に行く約束をしてる。
「お母さん、変じゃない?」
パタパタと階段を降りて、お母さんの前でもクルッと一回転。
「可愛いよ、ねぇお父さん?」
普段は仕事が忙しいお父さんも、今はお正月休みで家にいる。
「旭君と初詣だっけ?気を付けてな」
お父さんももちろん小さい頃から旭君のことを知ってるから、付き合ってる報告した時もあんまり驚かなかった。
お母さんみたいにあからさまに喜んではくれなかったけど、だからって反対もしてないみたい。
「初詣の後初売りも行くから、ちょっと遅くなるね」
「帰る前には連絡しなさい」
「はぁい」
「ひまり、これ食べる?」
お母さんが差し出したのは、焼き立てのお餅。しかも砂糖醤油が塗ってあって、それを海苔で包んでるから香ばしいいい匂いが鼻をくすぐる。
「う、ううん要らない!行ってきまーす!」
一瞬手が伸びかけたけど、昨日の体重計の数字を思い出しグッと我慢した。これ食べなかったからって痩せるわけじゃないけど、少しでも旭君に可愛いと思われたいもん。
「よ」
玄関を出るとすぐに旭君がいる。まだ待ち合わせより少し早いのに、待っててくれたんだ。
寒そうに肩を縮こませて白い息を吐く彼は、年が変わっても相変わらずカッコいい。寧ろ磨きがかかってキラキラ光ってるように見えた。
「明けましておめでとうございます」
「おめでとうございます」
二人でぺこりと新年の挨拶を交わす。
「旭君、明けましておめでとう!」
ウチのお母さんとお父さんも、家から出てきた。
「明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします」
おぉ、旭君が丁寧だ。
「ひまりちゃん、明けましておめでとう!」
私達の声が聞こえたのか、旭君のお父さんとお母さんも家から出てくる。
「あ、明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!」
勢いよくお辞儀したら、二人とも柔らかく笑ってくれて。
こんな風にお互いの親同士も仲良くてすんなり公認してもらえるのって、お隣さん同士ならではの特権だよなぁってしみじみ感じた。
昨日の夜から悩みに悩んでやっと決めたコーディネート。
白の薄手のタートルニットに、くすみピンクのざっくり編みカーディガン、それから細かい千鳥格子柄のタイトロングスカート。コートはネイビーのショートダッフルコートで、それに黒いタイツと黒のスニーカーを合わせた。
大分伸びた鎖骨までのロングヘアは、お母さんに巻いてもらって今日はふわふわだ。
「ねぇ、髪どう?いつもと違うでしょ?」
服装についてズバッと聞く勇気はまだないので、せめて髪型だけでも触れてもらおうと自分から話を振る。
あの一件が解決してから旭君もかなり丸くなった、というより素直に色々言ってくれるようになって。
「いいじゃん、可愛い」
目を細めて私の髪に触れるその表情に、私は一瞬でやられた。
「なんだよ、自分から聞いてきた癖に」
頭から煙が出そうな私を見て、旭君が喉を鳴らしながら笑う。
最初はお互いにぎこちなかった手も、今ではすっかり繋ぐのが当たり前みたいになった。