黒翼の淡恋
そしてその洞窟はクロニス帝国の兵士たちによって見つかってしまった。

シリウスを按じ捜索していた隊によって。


「黒髪の魔女!?おのれ!!」


「ま、待て!!違う!!この人は__」


ドスドスドス!!!

体を槍が貫く音がシリウスの脳裏に焼き付いた。


「あぁ・・そんな・・すまない・・」


目の前で微笑みながら母親は倒れた。

何故笑っていたのかはわからないが、最後にシリウスに言った。


「あ~あ・・やっぱり外に出るんじゃなかった・・」


「お前!!名は何という!?」


「ティファ・・」


「ティファ!!!死ぬな!!」


シリウスの握った手は、ただのしなやかで柔らかい女性の手だった。

人を殺すような人間ではない手だ。


「頼んだ・・よ」


「ティファ!!!!」


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