黒翼の淡恋
パンッ!!

彼女は怒りのままシリウスの頬に平手打ちをかました。

フォルトや兵士たちは驚きたじろぐ。


「ぶっ無礼者っ!!」

「取り押さえろ!」


とすぐさま取り掛かったが、それをシリウスは遮った。

それはとても冷静に、眉一つ動かさず。


「女、言いたいことがあるなら言え」


「私に・・魔女の疑いが・・あるなら・・」


溢れ出る涙を堪えながら、彼女は訴えた。


「この髪の毛で外に出たら・・殺されるって・・事でしょ!?あなたがやらなくても・・誰かが!!」


「・・・」


「この城に留まっても・・外に出ても・・私は・・死ぬ。誰かに殺される・・」


彼女はシリウスの手を両手で持つと、自分の首に押し付けた。


「もういい、ここで死ぬ。私が人々の害だと言うのなら・・ここで・・ころ」


_殺して・・・


死にたくないハズないのに。

選択肢が同じなら、もうここに居たくない。

消えたい。


そう思うほど疲れ切っていた。

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