黒翼の淡恋
「ワウ!ワフッ!ワフッ!」


5畳ほどの部屋の扉を開けると、中から黒い毛色の大型犬が走ってきた。


「ララ!」

「ワフッ!」


_わんちゃんだったあああ!!女の人じゃなかった!!


シリウスが楽しそうにララの頭を撫でる。


「ララだ。お前と同じ黒髪だ。親近感湧くだろ」


_私はペットですか!?犬と同じ扱いって事ですか!?ですね!!人間以下に見られてますもんね!!



「ワフッ」


ペロン。と頬を舐められた。


「ひゃっ」

「どうやら相性はいいらしい。仲良くなれよ」


といつもの鋭い目つきはどこへやら、ララを見つめる目はとても穏やかだった。

ちゃんと見ると、とても綺麗な顔立ちをしている。目も澄んでいて美しい。


_そんな顔もできるのね。この人・・。


意外だったのできょとんとしてしまったが、思った事を悟られないようにあえて下を向いて顔を伏せた。

ララはキラキラした目でティファを見つめている。


「ワフッ」

「この子、可愛い・・」


「帝国一美人だ」


「ふふ・・親ばかなんですね」


「・・」



_は!やばいこの人皇子で身分が全然違うのに!つい軽々しく言っちゃった!!怖い!!


笑顔を急いでララのおなかに隠した。


「まあ、な」


とシリウスは怒らずに答えた。


_よ、良かった。怒られなかった。


ゾクッ!!


シリウスの後ろから般若が現れた。

フォルトだった。

きりきりと歯ぎしりしている。

何も口出ししてこなかったが、顔がもの言いたげだ。


_フォルトって人・・苦手だ。

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