黒翼の淡恋
シリウスは4人兄弟だ。

第一皇子・ゼトロス

第二皇子・シュメル

第三皇子・シリウス

第四皇子・セシル


三男として生まれたシリウスは武芸は帝国一だったので、常に戦で指揮を取り成果を成し遂げていた。

時期皇帝には長兄ゼトロスがいる。

故に自分のやりたい事を自由に出来る地位にいた。


第二皇子のシュメルは腹違いの兄だ。

いつも競争心を押し付けてくる男だ。

仲もよくはない。


シリウスが廊下を歩いていると、前からシュメルが配下を引き連れてやってきた。


「シリウス、お前・・なかなか面白いことをしているそうじゃないか」


「これは兄上。面白いこと・・ですか?」


「黒髪女を傍に置くとは、ついに狂ったか?」


「狂うとは、いささか失礼ではありませんか兄上。俺は別にあいつを傍女にしたわけじゃありませんよ。監視して、様子を見ているのです」


「クッ。それがもはや狂っているというのだ。存在だけでも忌まわしい者を近くに置くなど。皇子のやるべき事か」


「なんと言われようが構いませんが、嘘偽りを世間に振りまくのだけはやめていただきたい。兄上」


「私がいつそのような事を?」


「我が側近の調べでは、貴方の配下が一般庶民にも俺が黒髪の魔女を侍らせているとかあり得ない噂までね。
そんな事を今後ふりまかれたら本当に狂いますよ。俺は」


チャ。

とシリウスは自分の腰にある剣のつかを手に取った。


「!!」


それを見てシュメルの配下達が前に出た。


「冗談です。ですが、これ以上は・・やめた方がいい。兄上は武術で俺に勝てたことがないのだから」


そう言い放ってシリウスは去った。


「今に・・見ていろ・・シリウス」


シリウスの背中を睨みつつ、シュメルは唇を噛み締めた。
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