黒翼の淡恋
夕食が終わった後、シリウスとフォルトはティファの部屋に向かった。

見張りの警備兵がいない。


ドンドンドン!!

内側から扉を強く叩く音がする。

不信に思った二人はすぐさま鍵を開け中に入った。


「ねえ助けて!!お願い助けて!!」


ティファは二人に向かって走ってきた。

青ざめ、涙を浮かべて。


「どうした!?・・あれは!?」


「ララが・・ララがっ!!」


ララが口から泡を吹いている。

体が痙攣し、目も白い。


「ララ!!」


「これは!?どういうことだ!?」


ララの近くに置かれているのはララの食器だ。

食べかけで少し器から零れている。


「ごはんを食べていたら急に苦しそうに泣き始まってっ・・ああっ・・ララぁっ」


相当怯えた様子でティファはうずくまった。


「お前は!?」


テーブルを見ると自分の食事には手を付けていない様だった。


「美味しそうに・・食べてたから・・頭を撫でてて・・それで・・」


ぼろぼろとティファの涙がララの顔に零れた。


「どうして・・」


フォルトが青ざめた顔で言いかけた。


「やっぱり災いが・・」
「それは違う」


シリウスはフォルトが言いかけた事をすぐに否定した。


「馬鹿かお前は。誰かがやったに決まってるだろうが。
なんでもこいつせいにする気か。他の人間と同じかお前は」


「・・・申し訳ありません」


「私・・私が・・イケナイ?」


二人のやりとりにティファは後ずさった。


_私がここに居たから?ララを殺したのは私がここに居たから? 



「お前ら落ち着け。違うだろ?外に警備も居なかったし、何か変だ」


「でも、私がここに居たから・・ララが・・」


「違うっつってんだろ!!」


ビクッ!!


冷静なシリウスが怒鳴り声をあげた。

フォルトでさえも信じらず驚いた。


「ララは、俺を嫌う『誰か』がやった。正面から来れない姑息な奴が俺を精神的に追い込むつもりだった。それだけだ」


「でもっ・・!」


ティファが何か言おうとしたが、それを大きな手で塞いだ。


「お前のせいじゃない。わかったか」


「・・・」


無理やりだったが、ティファはこくりと頷いた。

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