黒翼の淡恋
ティファの目に映ったのは、エメラルドグリーンの大海原だった。


「す・・凄い・・」


_大きい!広い!キラキラしてる!綺麗!


馬から降ろしてもらうと、大きな岩の壁から海を眺め続けた。

感動しているところへシリウスが問いかける。


「何か思い出したか?」


「いえ、初めて見ます」


「そうか」


風がティファの黒髪をさらっていく。

食い入るように海を見ているティファの瞳は、嘘はついていない様に見えた。



「兄上、どうぞ!釣り竿です!」


「いや俺はいい。そうだティファ、お前がやれ」


なんという無茶ぶりだ。

当たり前だが困惑する。


「無理ですよ!それにもし魚がかかったら持っていかれそう」


「大丈夫だ。その時はフォルトが助ける」


「え!?私ですか!?なぜ!?」


「命令だ。」


「酷いっ!!」


「お、お願いしますフォルト、さん!」


無理やり長い釣り竿を持たされ、ティファはセシルに投げ方を教えてもらい、海に糸を投げ込んだ。

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