黒翼の淡恋
シリウスが乾杯の音頭を取り晩餐会が始まったが、ティファの表情は暗く沈んだままだった。

海に落ちた件はまだ何も解決していない。

もやもやと出来事が頭の中を駆け巡る。


「どうした?食べろ」

「・・」


自分が釣った魚の料理。一口かじったが、味がよくわからなかった。


「兄上に怒ってるに決まってます」


と横から茶々を入れてきたのはセシルだ。


「魚に引っ張られてるのに誰も助けてくれなかったなんて。こんなにか弱い腕をしてるのに」


「そういうお前も応援してただけじゃないか?」


「だって、フォルトが手伝うって言ってたでしょう?」


フォルトはそれを聞き、びくびくしながらジノンの後ろへと一歩下がった。

じろり。

とティファとセシルがフォルトを睨むと、フォルトは身をすくませながらシリウスの方に助けを求めた。


「シリウス様からおっしゃってください」


「お前、主人の後ろに逃げる気か?普通なら前に出るのが役目だろう」


「ですが、あれはティファの為だとおっしゃっていたし。シリウス様から説明をした方が」


「私の・・ため?」


フォルトの言葉にティファは首を傾げた。
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