黒翼の淡恋
真っ暗な闇の中ランプを持ち歩く。

ザザン・・ザザン・・

と波の音が微かに聞こえる。


「気持ちいい音ですね」


「ええ、海は心を和ませてくれます」


ティファは思いとどまっていたが、海に少し勇気をもらった。


_今だったら言えるかも・・。やっぱり内緒にしておくのは申し訳ない。


「あの、クロレラさん。この後シリウス皇子にお伝えしたい事がありまして・・」


「はい」


「その・・外で」


「・・・」


クロレラはそこで初めて笑顔を止めた。


「重要なお話なんです。だから・・」


「わかりました。お連れしますので、そこの岩の前でお待ち下さい。ですが・・警備兵を付ける事をお許しください。一人では危険です」


「あ・・はい。もちろんです。お願いします」


コクリと頷くと、兵士をティファの近くに呼んでクロレラはテントに戻っていった。


ドキン

ドキン

ドキン


_き、緊張する・・口から心臓が飛び出そう・・。怒られるかな?




兵士は手を胸にあて緊張しているティファをジッと監視した。


「黒髪の女。馬鹿な真似はするなよ」


「え?あ・・はい」


外の警備兵はもちろん酒は飲んでいない。

そしてティファのドレス姿もちっとも響いていない様だった。


_あ、来た!


テントから出てきたシリウスを発見した。

クロレラと二人だ。

こちらへと向かってくる。
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