性悪御曹司の仰せのままに
朝8時頃。
この時間帯に会社に着くのが、私の中での決まりになりつつある。
この会社に勤めて、早3年。
新卒で入社した時に比べて、かなり仕事はできるようになった……と思っている。
というか、そうでなくてはならない。
なぜなら…………
「おはよぉございまぁす!ゆりか先輩〜!」
「おはよ、萌ちゃん」
考え事の途中で、元気よく声をかけてきたのは、2年後輩の河野 萌(こうの もえ)ちゃん。
見た目よし、仕事の腕よし、上司ウケよし、の私完敗の後輩だ。
「もぉ〜私、今日が楽しみで楽しみでぇ〜!」
そう言って、目をキラキラと輝かせる萌ちゃん。
そんな萌ちゃんを見て、ハッと考え事をしていた自分にかえった。
そう、なぜなら今日は……
「だって御曹司ですよ!お!ん!ぞ!う!し!
や〜〜っと帰ってくるんですよ〜!!」
社長の息子、通称御曹司が帰ってくる日だから。
私がこの会社に入ったのと同時に、アメリカへ留学に行ったらしい。