独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
「全く。由莉奈ちゃんがいけないんだからね。きみみたいな子、放っておけないよ。まずはそのウィンドブレイカーを着て」
腹を決めたように指示を出す海斗さんに、異論を唱える。
「これ、海斗さんのなんじゃ。私が着てしまったら……」
目の前の海斗さんは、薄い長袖シャツしか着ていない。暖かいとはいえ、さすがにそれでは寒いだろう。
「平気。男の方が体温高いから。冬の石垣島は風が強い日が多いんだ。今日はまだ暖かい方だから、東京から来てきたダウンでは暑いし」
言いながら、私にウィンドブレイカーを着せていく。大人しく袖に腕を通すと、長過ぎる部分を折り曲げてくれる。
「それに大人用は案外すぐに売っているから。そうだな。移動する前に空港で買って行こう」
「わ、私も大人です」
思わず言うと、悪戯っぽい顔で笑う。
「そうだね。随分可愛らしい大人だ」
身長145センチ。小さいのを気にしているのに。
「パンフレットだけじゃなく由莉奈ちゃんまでも吹き飛ばされそうで心配だから、今回の旅行は一緒に回らせて?」
極上の笑みを向け、頼みごとするみたいに言うのはズルイ。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
神様のご褒美は、延長も可能だったみたいだ。