独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
無事にウィンドブレイカーを買い、レンタカーを借りてあるという海斗さんについてその店舗まで取りに行く。
「さあ、乗って」
助手席のドアを開けてまでくれて、さながらお姫様気分。
「さて。由莉奈ちゃんは、どこへ行くつもりだったのかな」
「それは……パンフレットに全部書き込んであったので……」
力なく言うと、海斗さんがヒントをくれる。
「石垣島を散策するつもりだったのなら、玉取崎展望台、平久保崎、川平湾……」
「あ! 川平湾!」
知っている地名が出て声を上げると、にっこりと微笑む。
「川平湾、いいところだよ。まずはそこへ行こうか」
「でも、私に付き合ってもらっては、海斗さんは退屈なのでは」
「いいんだよ。何度訪れてもいいところだし。それに、たまにはこういうイレギュラーも面白い」
余裕な態度の海斗さんを見ていると、彼ならトラブルが起きてもそれを楽しめるんだろうなあと頼もしく思う。
「じゃお言葉に甘えて、お願いします」
「よし。そうと決まれば、行こうか」