独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

 両手で頬を包み込み、何度も唇が重なる。甘やかすみたいな口づけは、優しいのに、逃れられない。

「んっ」

 甘い声が漏れ、目の前の服にしがみつく。

「由莉奈も眠れなくなればいい」

 唇の隙間から意地悪なことを言われ、疑問を口にしたいのに、唇は塞がれてしまう。

『由莉奈も』って、海斗さん眠れていないの?

「まずいな。ミイラ取りがミイラになりそうだ」

 頭をすり寄せてぼやかれ、目の前の胸元に飛び込むようにして顔を埋める。

「なに? もうキスは嫌?」

 顔を左右に振り、そっと顔を上げる。

「好きです。海斗さん」

 目を見開き、息を詰まらせたあと、顔が近づいてきて深い口づけを交わす。

 吐息は甘く濡れていき、混ざり合って溶けていく。

「寝室に行こう。愛し合いたい」

 囁きに頷いて、身を委ねた。
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