独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
惰眠を貪る過ごし方は背徳感を抱きつつも、満ち足りた気持ちになる。まどろんだ穏やかな時間。肌と肌を重ね、温もりを感じる幸せ。
すぐ近くにある整った顔立ちに、今は慄いたりしない。ただ見つめていたくて、見つめていると、見つめているだけでは足りなくて。
顔をすり寄せると、まだ寝ぼけている海斗さんが無意識に抱き寄せる。
どうしよう。幸せ過ぎないかな。
昨晩は寝室に向かったはずが「お風呂まだだったね」と、有無を言わさずにバスルームに連行され、あれよあれよという間に一緒に入った。
思い返すだけで恥ずかしいものの、そのときにはもう片時も離れたくなくなっていた。
今も、ぴったりと隙間なく体をくっつける。
「由莉奈。起きている?」
目を覚ましたらしい海斗さんに頭だけ動かし、意思表示する。
「どうした? 態度、変わり過ぎだろ」
苦笑して顔を覗き込もうとしても、私はくっつけている頬を頑なに体から離さない。