独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
目と目を合わせ、目を逸らした方が負けのような我慢比べが始まる。視線を先に外したは父だった。
「出来過ぎた男だ。不信がるのは、人としての心情というものだ。由莉奈には普通の幸せを手にしてほしかった」
心の内を吐露する父は、なんだか小さく見えた。ずっと偉大だと思っていた父の姿が、記憶よりも年老いて頼りなく見える。
「由莉奈が俺を選んだら、結婚を許すという約束。男に二言はありませんよね? 由莉奈は、必ず俺の妻にします」
「海斗さん……」
父に堂々と宣言をされ、海斗さんの意思の強さを感じられたものの、戸惑いを隠せない。お付き合いをする報告だけのはずじゃ。