独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

 実家から帰る車内の中で、私は不満を口にする。

「お付き合いをする、報告をしに行くはずでは」

「ああ。報告しただろ」

「だって、結婚は……」

「待つから安心して」

 柔らかく言われても、睨みつけて言い返す。

「だって、俺から離れられないように仕組んでいる、みたいな心の声が漏れてましたよ!」

 言葉尻を強めて訴えたのに、響いている様子はない。

「それはそうでしょう? 由莉奈の気持ちが結婚に向くのを、なにもせずに待っているとは、ひと言も言っていない」

 明け透けに言われる本音に、返す言葉が見つからない。

「まずは胃袋をつかんで、それから……」

 信号で停まったのをいいことに、耳打ちをされる。

「俺なしじゃいられない体にしないとな」

「海斗さん! 前!」
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