独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
一緒に片付けをして、並んでソファに座る。この上ない幸せな時間。
そして、この後は……。
「由莉奈」
「ひゃいっ!」
身構えていたところに声をかけられたせいで、あり得ない声が出て、耳の先まで熱くなる。
海斗さんはというと、肩を揺らして一応笑いを堪えているみたいだけれど、堪えきれていない。
「もう! 海斗さんが変な発言をするから‼︎」
恋人らしい夜が、嫌なわけじゃない。ただ、改めて言われてしまうと、やっぱりまだ羞恥心が先に来る。
「ごめん。からかって。ちょっと浮かれてる」
想像とは違う言葉が聞こえ、顔を覆っていた手を外して見上げる。
指先で頬をかきながら「正直、自分の気持ちを持て余してるくらい、由莉奈が愛おしい」と、視線を逸らしたままこぼされる。
ずるいよ。そんなこと言われたら、胸が締め付けられる。
ゆっくりとこちらに顔を向けた指先は頬をそっとなぞるり、それから優しく唇が触れる。
「愛してる。由莉奈」
答えの代わりみたいなキスを交わし、そのまま深く溺れていった。