独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
「私ひとりでは、とても……」
真面目な顔つきで、海斗さんは続ける。
「もちろん、手に余る部分は外に頼んだっていい。会社も小さくていい。由莉奈が社長だ」
あまりに飛躍した話に面食らう。
「自分の身の丈はわかっています。社長だなんて……」
頭を振り下がっていく顔は、再び頬に手を添えられて視線が絡む。
「リチャードは由莉奈ならやれるだろうから、是非力を貸したいだそうだ。俺も同意見だ。俺の後押しじゃ不満?」
「不満だとは思いません。光栄です。ただお話が大きくて」
「いきなり大きく成し遂げなくていい。小さいところから始めればいい」
唇が優しく触れ、その優しい触れ方に胸が締め付けられる。
「まずは茶会を成功させられれば、自信になる。きっと楽しくて、その先を目指したくなるよ」
唇が数回重ねられたあと、囁きに身悶える。
「本音を言えば、よそ見をせずに俺だけを見ていてほしいけどね。俺の腕の中から出さずに、愛し続けて閉じ込めておきたい」
「海斗さん……」
甘い口づけを交わし、胸元にしがみつく。
「寝室に行こうか」
色気漂う声で囁かれ、耳の先まで赤くなっている気がする。
「ほら、行こう」
優しく促され、小さく頷いた。