独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

 その後も何度も顔を赤らめながら、数点を試着し終えた。

「俺に決めさせてくれる?」

 そう言って選んだのは、落ち着いたラベンダー色のドレス。スカート部分にたくさん入っているふんわりとしたプリーツが、優しい印象を与える。

 ただ、胸元からの切り替えが大胆に誘惑する。正面はまだおとなしいものの、背中にかけてのレースが色っぽくて。

「このまま着ていこう。あと、黒いドレスもお願いします」

「えっ。海斗さん、一着で十分です」

「せっかくじゃないか。どちらも良くて最後まで迷ったから。また、俺と食事に行くときにでも着てよ」

 黒色のドレスは肩から腕にかけてレースがあしらってあり、重くなり過ぎない華やかさを演出する。足元も、ふくらはぎ辺りが同じようにレースのもの。

 大人っぽい落ち着いた雰囲気で、確かに素敵ではあるけれど。

「ありがとう。嬉しいって言って?」

 下を向いていく顔を覗き込むように首を傾げる海斗さんに、勝てる気がしない。また赤くなってしまいそう。

「ありがとうございます。とても嬉しいです」

「あとからキスのお礼をもらえれば、それでいいよ」

 サラリと言い、手を引かれた。
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