独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
「親子喧嘩したよ。思いのほか、白熱してしまった」
「直談判をして、喧嘩までなさったんですか?」
つい出てしまった呆れ声に反論される。
「男には譲れないときがあるんだよ」
再びの不貞腐れた声にクスクスと笑うと、ふたりで顔を見合わせて笑う。
しばらく笑い合ったあと不意に笑みをしまい、真剣な表情になり真っ直ぐに告げられる。
「由莉奈、俺たちの将来についても考えてみてくれないか。俺は、頑張っている由莉奈の傍にいたい」
「海斗さん……」
今、仕事を精一杯やっている。この先、どうなるのかはわからないけれど、きっとこのまま邁進していけば、海斗さんの隣にいても誇れる自分になれるかもしれない。
そうなれたのは、紛れもなく海斗さんのお陰だ。誰にも頼らず自立した女性になりたいと肩肘を張っていたけれど、海斗さんの傍でこのままずっと……。
「返事は急がないから」と優しく言われ、その優しさに甘えてしまう。今回のパーティーを無事に終えられたら、自分の気持ちを海斗さんに伝えよう。固く決意をして、食事を楽しんだ。