独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
〈パーティーの内容を知らない人の方が、場違いだ。底が知れている〉
〈リチャード。応戦していたら、お前もこいつらと同レベルだぞ〉
辛辣な会話がなされ、ハラハラしているとその心配は杞憂だと知る。
「なによ。日本語で話しなさいよ」
早坂さんは目を釣り上げ、蚊帳の外に置かれている状況を怒っている。
〈やれやれ〉
海斗さんとリチャードさんは顔を見合わせ、早坂さんたちを無視して話を進める。
「さあ。由莉奈。着替えをしないと」
「えっ。でも、私まだ立食パーティーのときまでに着替えを済ませれば間に合うので……」
〈いいから行って。ここは私に任せなさい〉
手を引かれ、その場を立ち去ろうとすると、「ホテルの従業員なんて落ちぶれたわね。いい気味」と、とんでもない発言が聞こえ耳を疑う。
高級ホテルの、しかも私ではない本物の従業員がいるところで、『落ちぶれた』だなんて。
リチャードさんに押し付けてしまい、一抹の不安を感じながら、手を引かれるまま海斗さんのあとに続く。