独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

 再び唇が重なり、どうにか腕を突っぱねて体を離す。

「せっかくしてもらった化粧が……」

「ほら。抜け出す口実を、由莉奈も考えているんだろ?」

 妖しく微笑まれ、力強く否定する。

「そうじゃないです!」

「平気。キスしても崩れない優れものみたいだ」

 私の顎を手で持ち上げ、親指で唇をなぞる。真実かどうかこの際置いておいて、今は四の五の言っていられない。

「お願いします。行きましょう」

「由莉奈のお願いじゃ仕方ないな」

 ホッと息をついた離れ際、唇を舐められぞくぞくと甘い痺れが背中をつたう。

「もう! 本当に‼︎」

「ハハッ。わかったよ」

 文句を言っているのに、楽しそうだから嫌になっちゃう。
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