独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
「今までさまざまな会社でお世話になり、修行をしてきました染谷海斗を、この度副社長に任命します。海斗、ひと言」
名指しされた海斗さんに、周りの視線が集まる。
いつかは、社長を継ぐのだろうとは思っていた。それがこんなにも早く、副社長になるなんて。
また遠い人になってしまい、寂しい気持ちで壇上に上がっていく海斗さんの背中を見送る。
「ご紹介に預かりました。染谷海斗です。責任ある立場に任命され、光栄の至りであります。そして、この場をお借りしてもうひとつ、皆様にご報告があります」
心ばかり会場が騒ついてから、なんの報告だろうかと期待が高まっている。海斗さんの一挙手一投足に注目が集まる中、堂々と自信に満ちた声が響く。